Oberlin life 〜アメリカ大学留学記〜

アメリカ、オハイオ州にあるオーバリン大学の1年生です。人口8000人の小さな街での大学生活について綴っています。

最近の考えごと

こんにちは!秋休みももう終わりです。

私はシカゴに行く予定がまさかの体調を崩し、結局オーバリンにこもってました。でも、久しぶりにゆっくりできて、色々とリセットできたので良かったかなって思っています。

 

さて、そんな空いた時間に、1年生の頃のアドバイザーに会って来ました。

オーバリンでは、入学時に生徒一人一人にアドバイザーと言われる教授がつき、履修登録とかの相談に乗ってくれます。専攻が決まるとアドバイザーはその学部の教授に変わるのですが、入学時は割と違う学部の教授にあたる場合が多く、私の最初のアドバイザーは歴史の教授でした。そのアドバイザーと久しぶりにお話しして来ました!

 

まず会話は、今学期の授業について。今とってる言語教育学が好きすぎるというお話から、最近考えてることについて話しました。

いま言語教育学のクラスが好きな大きな理由は、自分の経験がここまで生かされる授業は初めてだからです。小さい頃から英語に触れて来た私にとっては、第二言語習得において、自分の経験からも話せることが沢山あります。そして、このクラスの教授と話すうちに、段々ともっとこの分野に関わりたい、日本語と英語を繋ぐ存在になりたいとおもうようになりました。

 

少し話は変わりますが、9月に、日本から能役者の方が2人、オーバリンにいらっしゃいました。どこまで書いて良いのかわからないので詳しいことは省きますが、その時、通訳等で関わる機会がありました。そこで感じたのはもどかしさ、でした。日本に長く伝わる伝統芸能を、違う言語と違う文化に生きる人たちに伝える難しさ。色んな人がそれぞれの言語能力を最大限に使ってコミュニケーションする中で失われるちょっとしたニュアンスやディテール。日本語と英語、両方それぞれの世界にかなりの期間生活して来た私にとっては、そんな翻訳のプロセスで失われたニュアンスが悔しくてたまりませんでした。

 

その夜、帰って夜中までかかり、思いを文字にぶつけ、6ページも書き続けました。それを先の言語教育学の教授に渡したところ、凄く素敵な言葉をいただきました。私の今までの経験を生かして、日本語の世界と英語の世界を繋ぐことが今後できるのではないか。私と同じように文化や言語の狭間に生きる子供たちへの手助けはできないか。そんな風に考えるようになりました。

 

それ以外の場でも、日本とアメリカ、日本語と英語、について考える機会が最近多くありました。最近までやっていた、日本語の歴史文献の翻訳の仕事では、歴史上の出来事を他の言語で伝えることの難しさや、研究や翻訳の段階で失われてしまう歴史上の大切な瞬間があることを実感しました。今まで歴史の教科書って揺るぎのないパーフェクトなものだと思っていたけど、実際には本当に何が起きたのかはなかなかわかっていなかったり、編集者の都合の良いように解説されていたり。そんなことも考えるようになりました。

 

また、今学期取っていた日本の舞台芸術の授業では、能や歌舞伎の台本の様々な翻訳版を読む機会がありました。日本語の元の台本、現代語訳、そしていくつかの英語訳を見ていくと、どれも少しずつニュアンスや言葉が違っていました。そんな部分に着目している自分にも気づきました。

 

こんな風に、言語の裏にある価値観やニュアンス、そして翻訳によってそこの繋がりがどう形成され、失われるのか、ということについて最近よく考えます。自分がして来た経験があるからこそこういう風に考えられると思うとより、熱が入ります。

 

とは言っても、私は自分のアイデンティティに自信が持てないことも多々あります。アメリカ人ばかりのアドミッションでのお仕事では、自分の出身地を隠してしまったり、、。なんとなく、自分の経験やバックグラウンドについて語ることに抵抗があって、友達にも日本出身としか言わないよねって指摘されたばかりです。でも、常々思うのが、自分がしてきた経験は、今の自分を、そしてこれからの自分へのビジョンを形作っているもの。だから、常に発信はできなくとも、自分の経験をどう活かせるのか考え続けていきたいなということです。

 

この記事に書いた諸々は、どれもバラバラな物事のように見えるかもしれません。私の中でも、色んな考え事がふわふわと舞っている状態です。でも、どれも根底には、私の日本人としての、海外に住んできたTCKとしての、日英バイリンガルとしての、自分のアイデンティティと経験を通じて何ができるのかという思いがあるのかなと思います。

 

そして、色んなことをひたすら話す私に助言しつつ温かい目で見守ってくださる教授には感謝しかありません。話していてなんとなく考えが整理されて来た気がします。多言語社会の架け橋的存在になる。新たな目標を持って、とりあえずこの言語教育学の授業、全力で駆け抜けます。

 

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最近のキャンパスの紅葉。最近は秋が一番好きな季節かもしれません。

 

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