Oberlin life 〜アメリカ大学留学記〜

アメリカ、オハイオ州にあるオーバリン大学の1年生です。人口8000人の小さな街での大学生活について綴っています。

自分と向き合うこと。

新学期1週目。今日、私は授業を一つ落とす決意をしました。

 

アメリカの他の多くの大学でもそうであるように、オーバリンでは、新学期最初の10日ほどはadd/drop periodと呼ばれ、興味のある授業に行ってみてスケジュールに "add" 追加したり、逆にこれは違うなと思う授業があったら "drop" 落としたりできます。

 

ただ、私、このシステムをあまり活用する方ではありません。履修登録時にある程度考えて登録しているということや、専攻が経済と数学ということで授業のとる順番やオプションがかなり決まっていることもあります。でもそれ以上にあるのが、授業は目一杯取らなきゃ、たくさんとって自分を追い込んで頑張らなきゃ、という無意識な思いでした。

 

だから、授業を追加することはあっても、決して落とさない。私の周りには、同じような、いや私以上の野心家ばかりで、みんな毎学期、大学で許されたマックスの単位数をとっています。それにつられて、いつもマックスで私もとってきました。

 

そんな私が今回、自分のスケジュールとの向き合い方を見直したのは、昨年の終わり頃から自分のメンタルヘルスに向き合う、ということを少しずつするようになってきたからでした。

 

アメリカに来てびっくりしたことの一つが、カウンセリングや、精神面の健康を保つ、ということが日常の会話で多く出てくるということです。授業内のディスカッションで「自分のセラピストが〜」と発言する学生の多いこと。何かあったときに、「カウンセリングに行けば?」と勧めてくる人がいること。まだメンタルヘルスにスティグマ(よくないイメージ)のある日本ではありえないことだと思います。実際、最初の頃は気軽にカウンセリングを他人に勧める人たちを見てはびっくりしていました。

 

 

そんな環境でも、私は自分の精神状態に関する会話を意識的に避けてきたように思います。なんとなく自分の中で、「弱さ」を見せることはいけないこと、何事も頑張り抜かなければいけない、と信じ込んでいたからだと思います。

 

そんな私がきちんと自分のメンタルヘルスに向き合うようになったのが、秋学期の後半でした。2020年、コロナ禍で落ち込んだり、うまくいかなかった人も多くいたと思います。私もその1人で、寮生活という環境、他人とのつながりの薄さ、多くの制限、積み重なる仕事やタスク、就活、先の見えない将来のこと…と多くの悩みを溜めてしまっていました。

ありがたいことに私を支えてくれる人たちは大学にたくさんいて、特に1年生の頃からお世話になっている教授兼アドバイザー兼メンターみたいな方とは、何度も電話したりテキストしたりして、様々な場面でサポートをしてもらっています。

 

その方とは定期的に(少なくとも月に1回、多い時は週に1回)話すのですが、昨年の秋、非常に多くの仕事ややらなければいけないことを抱え、切り替えがうまくできない、常に画面上で「作った自分」でいるのがつらい、という話をしたときに、カウンセリングセンターを利用してみたら?と言われました。上述したように私は「カウンセリング」と聞くと何か精神疾患を抱えている人のため、という印象があり、つらくても無理やり乗り越えなければ、という根性論に囚われていました。でも、その時の状況が自分にとってつらいものであったこと、そして信頼する教授からのアドバイスだったということもあり、意を決して電話をしました。

 

実は私は1年生の頃にも1度大学のカウンセリングセンターを利用したことがあったのですが、あまり良い思い出がありませんでした。でも、今回カウンセラーさんとの相性も良く、10月末に始めて、その後隔週で会い続け、今も続けています。

内容としては自分に優しくすることや、コミットメントを増やしすぎてしまうことなど、その時その時に悩んでいることについて話しています。詳しい内容等は書きませんが、自分の思考の癖に気付いたり、様々な物事に対して違う見方を持てるようになったり、と少しずつですが変化を感じてきました。そして、定期的に自分と向き合う時間が取れること、ジャッジメントなしで自分の話を聞いてくれる人がいること。この環境下だからこそより、こうして会話する場がある大切さを実感しています。

 

そして、そうやって自分と向き合ってきたからこそ、今学期始まって早々に忙しさとストレスに襲われた時に、「頑張り抜く」のではなく、どうしたら健康的に切り抜けられるのかを考えることができました。さらに、授業を落とした時に今までだったら感じていただろう罪悪感を感じることなく、むしろ自分と向き合えてる、ケアできてる、と嬉しくなりました。

 

まだまだ日本では「カウンセリングに行く」という行為が身近ではない人も多いのではないかと思います。実際、私もこの記事を公開するか迷いました。でも、自分の精神面の健康は身体の健康と同じくらい大切で、人間らしい生活には欠かせないものです。

アメリカでは、カウンセリングはとても身近で、気軽なものです。今は日本でもオンラインカウンセリングも増えているので、少しずつアクセスはしやすくなっているのかなと思います。私も、大学で無料でカウンセリングを受けられる環境に感謝しながら、自分と向き合おうと思います。